2015年1月12日月曜日

金の玉子(要約) ウサギとカメとトコちゃん/所ジョージ

むかしむかし、あるところに、ニワトリを飼って、ニワトリの産むタマゴを売っては、生活をしている村人がおりました。

さてある日のこと、その村人がいつものように、ニワトリ小屋をのぞいてみると、何やら小屋全体が金色に輝いているではありませんか。

「お、あの金色はなんだ。ニワトリが、婚約でもしたのかな、金のエンゲージリングで」
ニワトリ小屋に輝く、金色の固まり。そうです。金のタマゴが、産み落とされていたのです。
村人は、そのタマゴが金であることを確かめると、喜びました。大いに喜びました。喜びが大きくなりすぎ、踊りはじめました。

「この金のタマゴを産んだのは、どのニワトリだろう」

村人は、ニワトリ小屋のニワトリたちを見まわしました。
ニワトリの中に、いたよ、いたいた、金のタマゴを産んだニワトリが。このニワトリにちがいないというニワトリが。
どうして、すぐに、そのニワトリじゃないかとわかったかというと、ニワトリの腹がすごかったからです。

ともかく村人は、そのニワトリの産んだ金のタマゴを、町に売りにいきました。

ところが町で、いい返事はもらえませんでした。
というもの、日頃のクセで、村人はタマゴ屋さんに持って行ってしまったからでした。

なんやかんやあって、村人は、貴金属屋のおやじに会いました。

「こ、これは、ウワサにだけ聞いたことのある、金のタマゴ!」
「どうか、その金のタマゴを買ってていただきたいんですけど」
「いいでしょう。一個1万円で買いましょう」
やった! 村人は、大喜びです。
「また金のタマゴを持ってくれば、いつでも一個1万円で引きとりましょう」

バケモノのような金のタマゴを産むニワトリは、毎日、決まって一個ずつ、金のタマゴを産み落としました。

村人が、そのタマゴを貴金属屋に売ると、毎日毎日1万円ずつもらえるし、そのお金で、村人はどんどんリッチな生活になるし、すべては、順調でした。村人に、悪魔がささやきかけるまでは・・・・・・。

その朝、村人は、いつものように、ニワトリ小屋に、金のタマゴを取りにいきました。

村人は、ばさりばさりと羽ばたくニワトリの羽毛を浴びながら、ヒソヒソと悪魔がささやきかけてくるのを感じました。
「そのニワトリの腹の中には、金のタマゴがぎっしりつまっているぞ」「ぞ」「ぞ」「ぞ」「そのニワトリを殺せ」「せ」「せ」「せ」「ニワトリを殺して、腹の中のタマゴを集めろ」「ろ」「ろ」「ろ」

こうして村人はニワトリの腹をさきました。

ところが当然ながら、ニワトリの腹の中には、タマゴなんが一個も入っていませんでした。
「しくじっちゃった」

しかしです。どういうワケだか、村人はちっともガッカリしないではありませんか。

「村人さん、金のタマゴを産むニワトリが死んでしまったのに、どうしてがっかりしないんですか?」
「ハイ。それはですね、考えかたの問題ですね。金のタマゴが、もう手に入らなくなったと考えてしまうと、ガッカリしますが、これを、『金のタマゴが手に入らなくて元』と考えると、これは、ただたんに、以前の生活に戻っただけのこと。悔やむことは、ちっともありません」

こうして、幸せな考えかたの持ち主の村人は、ガッカリするどころか、殺したニワトリで、その晩は、たいそう豪華なトリ料理に舌つづみをうったということです。

めでたし、めでたし。


教訓!

人間、何もないもが元。なくしものも、考えようで幸せになれる

・出典

ウサギとカメとトコちゃん/所ジョージ、p139~154(要約)


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