司馬 モンゴルの高原の草原に行くと、やはりいまの地球は間違っているんじゃないかと思います。草だけをエネルギー源にしている。石油じゃなくて。牛や馬に草を食わせて、それのお余りをいただいている。完全な生産形態と消費形態とがある。草原での燃料は牛の糞の乾いたやつをつかう。あれは青色が出て、いい火力です。野蛮じゃない。秩序ある体系的な大文明です。
ともかくいざとなったら、私どもはそこへ戻れるんだと思うと気が楽になる。私にとって、モンゴル高原のことを考えるのは若いころからの娯楽なんですけど、この秘かなる娯楽があるおかげで世の行く末ということを考えても、あまり憂鬱にならずにすむんです(笑)。
堀田 それはいい(笑)。それが文明ですよ。
二◯◯一年で二十一世紀がくるわけでしょう。司馬さんも言われましたように、それまで一◯年を切ってしまったこの間に、人殺し騒ぎをやってる連中を全部やめさせ、自然破壊をやめさせると、そういう世界会議が必要です。
司馬 必要です。
・出典
時代の風音/宮崎駿、堀田善衛、司馬遼太郎、8 地球人への処方箋、二◯◯一年一月一日への世界会議、p239,240
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