2015年1月30日金曜日

早く、ていねいに 忘れて捨てて許す生き方/塩沼亮潤

 さて、お坊さんになって最初に言われるのは、
 「早く、ていねいに」
 ということです。「雑で遅い」のはもちろん駄目ですが、「遅くてていねい」でもいけない。「早く、ていねいに」。口で言うのは簡単ですが、実際にやるのは簡単ではありません。口で言うのは簡単ですが、実際にやるのは簡単ではありません。では、そのときに何が大切か。私なりに思ったことが三つあります。
 第一に、ありとあらゆる最悪なことを予想し、どんなことが起きても、きちんとていねいに仕上がるよう手段を講じておくのです。これは、相手に対する気づかいです。
(中略)
 ふたつ目ですが、ひとりで仕事をするとはかぎりません。大勢の仲間と一緒に仕事をすることもよくあります。もし自分から半径一メートル以内しか見えていないとしたら、仕事はうまくいきません。相手の動きを見て、先輩がいたらこう、お師匠さんがいたらこう、と、痒いところに手が届くように、きちんと心の連携を結んでいかなければ、早くていねいに仕上げることはできません。
(中略)
 大切なのは三つ目、「まごころ」です。「まごころ」がなければ、どんなに早くてていねいな仕事でも、何だか冷たい行動になってしまう。まわりと連携し、いろんなことを予想するなかに、「まごころ」があってこそ、その人が一人前のお坊さんとして認められるのではないかと思います。

・出典
忘れて捨てて許す生き方/塩沼亮潤、日々を生きる、人生の助言、p156~158

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