2015年1月31日土曜日

いい家と人と庭、その継承 時代の風音/宮崎駿、堀田善衛、司馬遼太郎

宮崎 ふと見かけたいい家を訪ねていく、という仕事をある雑誌で始めているんですが、いい家というのは、家と人と庭が-植物ですが、いっしょに年とっていく家ですね。家のつくりがいいとか、材料がいいとかいうのは、それは何年かたつと関係なくなります。
 震災直後に建てたちょっとハイカラなぼろ家でも、そこに住んでいる人が、その家と庭をだいじにしているといった家に出会うと、私はもうとても幸せな気持になるんです。家と人間とがいっしょに年とっていくのを見ると、日本はすてたものではないと思うんです。
 ですから、日本の家というのを考えるときに、自然と時間とのかかわり合いなんだと思うしかないのです。でもいまの家というのは、時間の経過を拒否する建物ですから、どこかで音をたてて変わり始めているという感じがします。
司馬 私は、相続税は文化を破壊する、と書いたことがあります。文化というのは、礼儀作法に見られるように、元来、家つきものですよ。庭がどんなに小さくても、その庭によってある美意識が養われるならば、これは文化の道なんです。その庭を四分して売らなきゃ相続税が払えない。これは、完全に文化の破壊です。自民党の連中にそう言ってみてもぜんぜんわからない。

・出典
時代の風音/宮崎駿、堀田善衛、司馬遼太郎、8 地球人への処方箋、家、p216,217

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相続するだけなのにお金が取られる。これが常識なんでしょうが、本当にこれは常識としてあっていいことなのかな?と思いました。

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