結果的に、六人のメンバーのうち四人は登頂できなかったのです。
私はエベレストの頂上に立ちました。こう言うと、仲間を置き去りにして勝手に先に行ったと思われるかもしれませんが、弱い者に合わせていたら山は登れない。
学校の遠足やハイキングなのでは、一番弱い人を先頭にするケースもあります。しかし、弱い人のペースに合わせれば、チーム全体が弱くなり、結局は登頂という目的も果たせなくなる可能性が高くなる。
体力の消耗度は、山での行動時間の長さに比例します。のんびり登っていたら、明らかに疲れてしまう。ルートを延ばしていくためには、強い人が先に立って進まなければなりません。
一番強い人間が道をつくり、その後を弱い人間が通れるようにする。それが基本的な考え方です。そもそも山の中にいること自体がリスクなのです。一時間かけて登るところを五◯で登ることができれば、一◯分のリスクを減らすことができる。山の中でリスクを減らす方法は、それしかないのです。
・出典
登山の哲学/竹内洋岳、第二章 組織で登る八◯◯◯メートル、p77,78
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