2015年1月23日金曜日

人はなぜ山に登るのか 登山の哲学/竹内洋岳

 私の長男は一歳になる前から一人で歩き始めました。ヨロヨロ歩くのが危なっかしくて、妻が手で支えると、その手を振り払って歩く。けれども、結局は転ぶ。妻が抱き起こそうとすると、その手を振り払って、自力で立ち上がって歩こうとする。
 一方、一年ちょっと後に生まれた次男は、まったく違うのです。一歳になっても一人では歩けない。ようやく歩けるようになったと思ったら、ずっと妻の手を握って放さない。転んだら自分で立とうとしはしない。同じ材料で作られたであろう二人の息子なのに、まるっきり行動のパターンは違います。
 二人ともまだ一歳前後のときの話ですから、生活環境や親の育て方でこれだけの違いが表れたとは考えられません。年が離れているわけでもない。だとしたら、持って生まれた”性分”としか言いようがない。
 そう思うと、私自身が高いところに登りたくなったり、知らない場所に行きたくなったりするのも、もともとそういう性分を持っていたと考えるようが自然な気がします。
(中略)
 なぜ山に登るのか? 私には「そこに山があるからだ」と言ったマリーのように格好いい答えは思い浮かばない。私が山に登りたくなるのは、「登りたいから仕方がない」ことなのです。

・出典
登山の哲学/竹内洋岳、第六章 危険を回避する想像力、p181,182

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やりたいからやる。これにつきますね。理由なんてないと・・・。

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