修行をはじめたばかりの頃は、山のあるきかたなどまったくわかりませんでした。ただがむしゃからに、歯を食いしばって、右の足と左の足を前に出していました。
しかし山の修行では、ただただ「どんなものにも負けないぞ」といった強い心ばかりで歩いていると、その強さがかえって足腰に負担をかけてしまいます。足を大地にガンガンと叩きつけ、踏みつければ踏みつけるほど、自分の足腰を痛めてしまい、だんだんと山は優しく歩かなければならないと気がつきはじめるのです。やがて私は、胸の内で「謙虚、素直」「謙虚、素直」とつぶやきながら、右足と左足が自然に前に出ていくような歩きかたになっていました。
・出典
忘れて捨てて許す生き方/塩沼亮潤、人生って何だろう、素直の効用、p14
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