2015年1月17日土曜日

現代社会と農の関わり方 農を遊ぶ/稲垣栄洋

 昔、農業や林業は暮らしと共にありました。田畑を耕しては食べ物を収穫し、山の木や草を材料に色々なものを作りました。自然に対して働きかけをしながら自然の恵みを受けて暮らしていたのです。農業や林業はその自然との関わり方そのものでした。そして自然と共存する知恵にあふれていました。
 現代はどうでしょうか。私たちは農業や林業と無関係に生活を送っているように感じます。自然との関わりがなくても生きていけるように思えます。しかし、私たち人間も生物の一員です。自然の構成員なのです。どんなに時代が進んでもこの真実は変わりません。自然の恵みを受け、自然との関わりなしには生きていけない存在なのです。現代の私たちの生活もどこかで自然の営みと、そして農林業とつながっています。ただ社会のシステムが高度に複雑化し、その繋がりが見えなくなっているのです。本当に大切なものが見えなくなりつつあるのです。

(中略)

 農山村に出掛ければたくさんの感動的な発見があります。農林業にふれることで、様々なことを感じ、学びます。都市と農村とが出会えば新しい何かが生まれます。しかし、農林業と言ってもまったくなじみがないし、何だか難しそう、というのも事実でしょう。それだけ私たちは農林業とかけ離れたところで暮らしています。農の魅力に触れ、農に親しもう、そして農を考えてみよう。(中略)
 いくら農が生きる上での基盤だと言っても、今の時代、すべての人が農林業をやることや、すべての人が自給を目指すことはナンセンスです。しかし、すべての人がどんなに些細なことでも農に関わり、毎日の生活のちょっとした時間に農を感じることができるとしたら・・・・・・。だから、みんなで農に関わりたいのです。

・出典
農を遊ぶ/稲垣栄洋、はじめに、p2,3

関連場所、商品

町にいると当然のようにスーパーには野菜や肉、魚が並んでいて自然とつながっていると分かりにくいですね。今の子どもの中には魚は切り身になっているものしか見たことがない子もいるそうです。世の中の分業がかなり進んでますが、他の命を頂いて生きているという感覚は忘れないようにしたいです。

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