2015年1月18日日曜日

赤い女王の登場 弱者の選択/稲垣栄洋

 生物は敵がいることによって進化する。これを説明するのが、生物学者リー・ヴァン・ヴェーレンが提唱した「赤い女王仮説」と呼ばれるものである。
 「赤い女王」というのは、ルイス・キャロルの名作「ふしぎの国のアリス」の続編である「鏡の国のアリス」に登場する人物である。「鏡の国のアリス」の中で、赤い女王はアリスにこう教える。
「いいこと、ここでは同じ場所にとまっているだけでも、せいいっぱいかけてなくちゃならないんですよ」
 こう言われてアリスも赤の女王と一緒に走り出す。しかし、まわりの風景はまったくかわらない。まわりのものも全力で走るアリスと同じスピードで動いていたのである。だから、そこにとどまるためには全力疾走で走り続けなければならないのだ。
 生物の進化もこの話と良く似ている。
(中略)
 自然界では、ほとんどの生き物が攻撃する側であり、同時に攻撃を受けている側でもある。そのため、しのぎを削り合いながら、激しい進化の競争を繰り広げているのである。
 かくして、生物は常に、変わり続けているのである。

・出典
弱者の選択/稲垣栄洋、第七章、逃げられない植物はどうしているのか?p144,145

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