2015年2月4日水曜日

行き先の決まっていない遠足 いなほ保育園の十二ヶ月/北原和子 聞き書き 塩野米松

 遠足は4月の6日でした。
 電車に乗って行きました。電車に乗るだけで大変ですよ。こどもたちはいつもどおり、どのへ行くとも何も教えてないんです。だから、電車の中でほかの乗客に「どこへいくの?」って聞かれても「遠足ー」。「どこまで行くの?」「知らなーい」って言ってました。全てがそうですね。この人といれば行き着くところにはベストしかないって信じきっているから。嬉しそうに「知らなーい」って(笑)。
 でもね今回は「万が一迷子になったときは埼玉県桶川市川田谷のいなほ保育園って言えばね、絶対対丈夫だからね」「必ず見つけにいってあげるからね」って言ってあったんです。
 行き先は途中で子どもの状況を見て決めるんです。様子を見て、これは無理だなと思ったら、行く場所を変えちゃうんですよ。いろんなことがそうなんです。それが本当は普通なことでしょ? 決めたら何があってもいかなくちゃ、って変ですよ。
 子どもの体調にあわせて、考えていくのが当然です。ですから行く先も変わるし、決まってないんです。こどものほうもわかっているからね。「まだ乗るの?」とかね、「あと何個?」とか聞いてきます。
 結局今回は最終的には海まで行ったの。乗り物もいくつも乗り継いで。
 半分インフルエンザ気味のかんたちゃんみたいな子もいるし、どこにしようかずっと車中考えながら、みんなの様子を見て決めたんです。

・出典

手作りの園舎(2月)、お別れの遠足、p60

先にわからないことがあるとなんでも楽しいですね。何事も余白があるからそこに想像の余地ができて、楽しめたりします。

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