-勝った。
武蔵は、心のうちで、自分へ凱歌をあげてみる。
(-吉岡清十郎に、おれは勝った。室町以来の宗家、あの名門の子を、おれはたおした)
だか、彼の心は、すこしも歓んではないのである。彼は、俯向きがちに、野を歩いていた。
(中略)
勝った後のさびしさ-というのは、賢い人たちの俗世的な感傷である。修行中の兵法者にはない言葉だ。けれど武蔵は、たまらない淋しさにつつまれて、果てなき野を独りあるいている。
・出典
宮本武蔵 (三)/吉川英治、枯野見、p270
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未熟な私には全然わからない感覚です。
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