2015年2月4日水曜日

画一、カリキュラムじゃだめ いなほ保育園の十二ヶ月/北原和子 聞き書き 塩野米松

 人間が生物として生きていくときには、やっぱりメカニズム、リズムがあるんですね。
 焼き物を焼く人が土を焼くときもきっとあると思うんです。湿気の多い日とそうじゃない日とか。1日の時間帯だったら、太陽のこのくらいに差し込むこの辺のところで、こうしたほうがいいとか。全部生き物だからちょうどいい適した時間があると思うんです。
 人間の子どももそうなんですよ。あのくらいになると子どもたちは今日のメカニズム、明日のメカニズムとどんどん発達を遂げていくわけですから、そこをしっかり見抜いていないとだめなんです。
 画一じゃだめです。
 だからカリキュラムを作ってもだめなんです。
 人間そのものをまず見ていないと、保育は大変なんです。だからどんなにかわいい優しい子が保育士をやっても、無理です。どんなにお金があって、どんな御殿がそこに建ってもだめです。一番大事なのは一人一人の時期を見抜くことなんです。
 この見抜くということだって、私が考えだしたんじゃなくて、100年もかけてやってきた人の知恵に乗っかているだけなんです。
(中略)
 保護者は無意識のうちにそこまでの洞察力を持たないと、赤ちゃんのコンマ1秒ぐらいで瞬間に出すその感性やいろいろなものというのは、やっぱり見つけることができないんです。
 だから今、目の前にいる子どもそのものから、それを受け取らなくちゃならないんです。受け取る。受け取って渡す。渡して初めてその子は瞬間に出してくれるわけ。受け取ってあげなかったら出さないです。
 そういうときだから、私はこの時期はすさまじいんですよ。自分のエネルギーを子どもに使うときは、ほんとに何かもう不思議なほどで、子どもにも伝わるんです。人間というのはお互いに引き合う時期があるんですよ。

・出典

「いなほ」ができたころ(2007年1月)、時期の見分け、p29,30

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