浅野さんは世間で言うところの「有機・無農薬栽培」農家である。しかし、浅野さんはそう呼ばれることを望んではいない。農水省に「有機・無農薬」という「表示」のための「お墨付き」を求めようとは思わない。有機肥料の利用や無農薬が肝心なのではなく、浅野さんにとっての「あたりまえの農業」を実践しているのであり、「良い野菜だから」といって選んで買って貰える野菜を作っているだけだからだ。
浅野さんにしてみれば、もともと健康で美味しいと言える野菜を育てるために「あたりまえ」のことをしてきたに過ぎないことなのに、あえて「有機の生産基準」を作り、基準に外れた物に対しては罰則までを付ける必要があるのだろうかと考えるからだ。
(中略)
浅野悦男さんは自分の作物のことを「有機・無農薬栽培」とは言わない。量販店のバイヤーなどに「その方が高く売れるのに」と言われると、 「確かに、自分は農薬を使っていない。でも、自家採取以外の種子は、多分、消毒されてるよ。それでも『嘘』にはならないの?それに、うちの畑のすぐ脇では農薬をタップリ使ってる。それを拒むことができますか?」と。
・出典
【農業経営者ルポ】お客さんではなくファンができる経営
・関連場所
お墨付きや、レッテルを貼られることに価値を見出すということが、本当に必要なのか考えさせられます。
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