よく強がった侍が、念仏のようにいう、必死とか、覚悟などという言葉も、武蔵の考えからすると、取るに足らないたわ言のように思える。
およそ人なみの侍が、こういう場合に立ち至った時、必死になることなどは、当然な動物性である。覚悟の方は、やや高等な心がまえであるが、それとても、死ぬ覚悟ならば、そう難しいことではない。どうしてもしなねばならぬ事態に迎えられてする死ぬ覚悟だとすれば、なおさら、誰もすることである。
彼がなやむのは、必死の覚悟が持てないことではなく、勝つことなのだ。絶対に勝つ信条をつかむことである。
・出典
宮本武蔵 (三)/吉川英治、神泉、三、p13,14
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武蔵さんのように「死ぬ覚悟はそう難しいことではない」なんて、簡単に言えないけれども、結局は何事も勝つことが大切だということだ。覚悟なんてどうでもいいから、相手に、社会に、自分に勝とう。勝てないときは逃げよう。
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