王子さまは砂漠をよこぎりましたが、たった一輪の花に出くわしたきりでした。花びらが三つの花でした。まったく、なんでもない花でした・・・・・
「こんにちは」と、王子さまがいいました。
「こんにちは」と、花がいいました。
「人間たち、どこにいるの?」と、王子さまは、ていねいにたずねました。
花はある日、隊商の通ってゆくのを見たことがありました。
「人間? 六、七人は、いるでしょうね。何年かまえに、見かけたことがありましたよ。だけど、どこであえるか、わかりませんねえ。風に吹かれてあるきまわるのです。根がないだから、たいへん不自由していますよ」
「さよなら」と、王子さまがいいました。
「さよなら」と、花がいいました。
・出典
星の王子さま/サン=テグジュペリ作 内藤 濯訳、18 p97,98
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