2015年2月4日水曜日

何かを持てる自分になる お客さんではなくファンができる経営/浅野悦男

 浅野さんは単なる「顧客」ではなく「ファン」になってくれるお客さんや取引先がいることを知った。そのことの有難さが身に沁み、またそれが仕事への励みになった。もちろん、それだけの評価を受け、そう思われるに足る自分にしかない何かを持ってることが前提だ。 
 物を買うのならソニーでなければ、ホンダでなければ駄目だという人がいる。彼が好きなソニーやホンダやトヨタが良いかどうかではなく、それでもソニーやホンダやトヨタを買う人のことだ。サッカーのファンは会社を休み、あるいは会社を辞め家族を投げうってまでもフランスに応援に行ってしまう。そこまではいかずとも、そんなファンになってもらえるだけの何かを持てる自分になる。農家でも産直や引き売りをしてみればそのことに気付くはず。個人の主婦だけでなくスーパーのバイヤーや経営者のなかにも、そういう思いで支援してくれる人がきっと出てくるものなのだ。 
 農業に限らずファンを持たぬ経営者は挫折しやすいのではないか。それに甘えてはいけないが、どんな経営者も単なる顧客でなくファンや支持者に助けられた体験を持つものである。ファンといえる顧客や支援者の励ましが、困難や逆境や孤立の中にいる彼に勇気を与え、意欲を沸き立たせるものだからだ。横並びの意識を越えた、新しいことに取り組む者にとってはなおさらそれが必要なのだ。 


・出典
【農業経営者ルポ】お客さんではなくファンができる経営

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