2015年2月14日土曜日

忠実と自得 竜馬がゆく 一 /司馬遼太郎

 「ひとの中には、先人の学問を忠実に学ぼうとする型と、それよりも自得したいという型のふたつがあるといいます。竜馬どのはあとの型で、その心が並はずれて強いひとだと思います。そういう型は、唐土の曹操のように乱世の英雄に多い、と兄上が申していましたから、田鶴はいちど、その乱世の英雄に会ってみたいとおもっていました。ところがいざ、お会いしてみると」
「どうでございましたか」
「魅き入れられるような所のあるお人ですね」
「それは、お嬢さま-」
 はつは、こわい顔をしてみせた。

・出典
竜馬がゆく 一 /司馬遼太郎、門出の花、p45,46

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