たとえば、漫画の本とかが置いてあっとする。そうすると、彼はすぐその漫画を、その人に断りもなく、パラパラめくりはじめる。この「断りもなく」というところがすごいでしょ。それで「おまえ、これ、どれ読んでるの?」。いまの若い人は一冊買っても、必ずしも全部は読みませんからね。好きなものしか読まなかったりする。それを彼はなんとなく知ってますから。「わたしはこれを」「へー、そうなんだ」。それでそのまま、立ちっぱなしでそれを読んでしまう。「で、おまえ、これどこがおもしろいの?」とか訊いたりしている。で、次に行くんです。
(中略:同様のことをイヤホンで聴いている音楽で行う)
いささかはた迷惑ですけど、これはいろいろな意味があると思う。根本はやはり、彼はどういう人なのか彼女はどういう人なのか、一人一人のことを知りたいという欲求なんですね。いちばん素朴なところなんでしょうけど、それを毎日のようにやっているなかで、なんとなく「アッ、いま、みんなはこういうものが好きなのか」という情報として、みについていくことにつながっているんじゃないでしょうか。「企画は半径三メートル以内にいっぱい転がっている」というのは、まさにこういうことでしょうね。
・出典
仕事道楽 スタジオジブリの現場/鈴木敏夫、4 宮崎駿の映画作法、p65・関連場所、商品
鈴木敏夫
宮崎駿
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自分の内側、内側に籠ってしまって他人に興味を持てなくなっている人がふえているんじゃないか。喫茶店で女性同士が話していても、だいたい時間を区切って自分の話をして交代という形をとっている。ほとんど相手の話を聞いているようで聞いていない。早く自分が話す番がこないかなと待ちわびている。だいたい、みんなそんなもんだろうけど・・・。
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