俺は街で遊んでいる子どもたちによく出くわす。
公共のマナーを守れない子どもには、大人が「それはダメだ」って教えてあげないといけないのに、ゴミを捨てる子を見てもだれも注意しないのはなんでだろう。
どう注意していいのかわからないのかもしれないけど、大人が見て見ぬフリするのはよくない。それって、シカトしてるってことでしょ?
子どもをシカトする社会ってどう考えてもおかしいよ。
そこは一歩、注意する勇気を持ってほしいね。そこから変えていけば社会が変わると思うから。ただ、急に目一杯やろうとすると意気込んじゃっておかしくなるかもしれないから、普段からちょっとずつ言うようにしておいたほうがいい。
俺はいま、「ゴミは捨てるな」「ゴミ拾え」活動に入ってる。
そのまんまの活動なんだけど、ゴミをポイっと捨てるやつがいたら「ダメだよ、捨てちゃ」って言うの。そのひと言でいい。なんでもそうだよ。なにも「クラァァァ!!!」ってけんか腰で言う必要ないから。柔らかく「しちゃいけないよ」って言えばいいんだ。
そしたら子どもはドキッとする。子どもは心の中で「わ、注意されたよ。でもまぁポイ捨てしたらダメだよな」って思う。ゴミを捨てるのが悪いことだっていうのは、だれでも知ってるからね。たとえそのとき「うるせえ」って思っても、大人に注意された事実は残る。その記憶が大事なんだよ。
その子が大人になって、かつての自分みたいにゴミを捨てる子どもを見たら、「あ、俺も注意されたな」と思い出すかもしれない。そしたら今度は自分が「ゴミを捨てたらダメだよ」って言える大人になる可能性がある。
子ども100人に声をかけたら、ひとりくらいはそういうやつが出てくるはずだ。そのために種をまいておかなきゃいけない。
俺の「ゴミ拾え」活動も、種まきなんだ。だれもそんなこと言う大人がいなかったら、そこを目指す子どもがいなくなるからね。
そのときは価値がわからなくても、大人になってからわかることってある。子どものころに怒られまくった怖い先生が懐かしくなるみたいなもんで、知らない大人に注意されたことにありがたみを見出せるようになるはずだ。
日本の未来のためにも、大人には勇気を持ってほしいね。
・出典
俺んち、やばくない!? 〜家族ではなく”族”を目指して〜/哀川翔
第②章 子どもの学校にも出撃、p39,40
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この話を聞いて、私も小学校のときに、見ず知らずのおじさんに叱られたことを思い出しました。その時は「なんだ、このおっさん」と思いましたが、そういう経験をしたことは今となっては貴重な体験だったんだなと思いました。